アルミ缶リサイクルをして途上国へ井戸を贈る
今月紹介するのは南砺市立福野小学校の「アルミ缶回収」です。福野小ではアルミ缶を集め、地域のリサイクル業者に回収してもらうことで生まれたお金を「アジア協会アジア友の会」を通じて、途上国に井戸を作るために寄付しています。これまでカンボジアやネパールへ10基の井戸を贈りました。1994年から始まり、現在ボランティア委員会が中心となって活動しています。
1基の井戸を贈るために必要な金額は17万円。数にすると約255,000個ものアルミ缶が必要です。
アルミ缶をたくさん集めることは簡単ではありませんが、648名の全校児童は「井戸を贈る」という目標に向けて、全員で協力しています。袋いっぱいに持ってくる子や一つだけ持ってくる子、それぞれ持ってくる量は違いますが「少しずつでも全員で取り組めばたくさん集まる!」そんな思いがあるのかもしれません。
20年以上続く活動が転機を迎えたのは、昨年ユニセフの方が学校を訪れたときのこと。その日は、学校に行けない子供がいることや、水が近くにないため一日かけて水くみをしている子がいることなど世界で起きていることを教えてもらいました。男子児童が実際の重さである10キロ以上ある水がめを持ち上げましたが、2、3メートル歩くのが精一杯。これを途上国の女の子たちが毎日やっているのかと驚いたようです。ボランティア委員会の委員長は「自分たちは蛇口をひねれば水が出るけど、近くに井戸がない人は、何時間も歩いて大変だと思いました。」と、その時の感想を話してくれました。それまでも「リサイクルで井戸を寄付したい」という思いはありましたが、ユニセフの方に教わったことが活動の意味を強く意識するきっかけになったそうです。
福野小は2017年にユネスコスクールに認定された学校です。持続可能な社会をつくるための学習や環境に関する学習を積極的に取り組んでいます。
昨年はユニセフの方が訪れて、学校に行けない子、重い水がめを持って一日水くみをしている子など、世界で起きていることを教えてもらいました。
回収日の前は、ボランティア委員会が校内放送でアルミ缶を持ってくるよう全校に呼び掛けています。「困っている人を助けるために」なぜこの活動が必要なのかを子供たちが発信することで、放送を聞いた子の「協力してみようかな」という気持ちをうまく引き出しているようです。
回収日は持ってきてくれた人に1回につき1枚のシールを渡し、シールをもらった人は自分のクラスの表にシールを貼ります。たくさんのシールが貼られた表は、クラスでどのくらいの人が持ってきたかが分かり、みんなで協力する気持ちや達成感につながっています。取材した日はアルミ缶を手に「(井戸の寄付まで)あと何個?」と先生に聞く子もいて、井戸を贈ることを楽しみにしているようでした。
取材した月に集まったアルミ缶は大きな袋7つ分。「アルミ缶は学校に持っていく」という習慣が各家庭、先生たちにも広がっていて、たくさん集まりました。
寄付をするにはまだまだ必要ですが、委員長は「人の役に立って笑顔を増やしたい!卒業までにもう1基贈りたい!」と話し、11基目の井戸を贈るために全校児童、先生が力を合わせて取り組んでいました。