池をきれいにして学校のシンボルに
今月紹介するのは射水市立片口小学校の「緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦」です。今年度の4年生27名は、総合的な学習の時間に何を学ぶかみんなで考えたとき、児童の「テレビ番組で『池の水をぜんぶ抜く』ってある…」という一言から、池をきれいにして、学校のシンボルになるように活動をすることにしました。先生の「子供の本気の学びを生み出したい!」という思いから、学ぶ内容も学習のゴールも考えたのは子供たち。そこから自分で考えて行動する授業が始まりました。
活動は「①池の掃除②生態系の調査③これからを考える」の順に進めます。
取材したのは「①池の掃除」の日。4つのグループに分かれて活動しました。
- Aグループ…池の掃除や生き物を捕まえる
- Bグループ…生き物などを別の場所(裏庭の池・水槽)に移動する
- Cグループ…裏庭の池で生き物を保管
- Dグループ…水槽で生き物を保管
まずはポンプで池の水を抜くことから始め、水の量が減ると、生き物、植物、たまった汚れなど今まで見たことがなかった池の中が見えてきました。
最初に見つけたのはパイプとブロックです。まわりにはびっしりと藻がついて緑色になっていました。引き上げて、ブラシでゴシゴシ磨くと、最初は緑色だったのが、みるみるうちにきれいになって、白っぽい色に!子供たちから「先生!きれいになったよ!」とうれしそうに話す声が聞こえてきました。
ブラシでパイプを磨いている横で、池の中も着々ときれいになっていました。泥水やホースの水がかかることなんて全く気にせず、子供たちは汚れを見つけるたびにせっせと掃除に精を出します。自分のまわりがきれいになると他に汚れているところがないか探し、壁面、段差、隅と、磨いたり、ごみを取ったりして、池を少しずつきれいにしました。
さらに水かさが減ると、いよいよ生き物の姿が!足元に触れる感覚、水中を移動する影、手をすり抜ける感覚と、全てが子供たちをわくわくさせる要素で、生き物を感じるたびに「見つけた!」「そっちに行った!」と捕獲に全力を注いでいました。魚を捕まえると友達が集まってきて大喜び。僕も!私も!と、一気に池の周りがにぎやかになりました。
ここで忘れてはいけないのが捕まえているのは「命」だということです。残念ながら池から移す途中、数匹が死んでしまいました。子供たちに死んでしまった魚はどうするか聞いてみたところ「お墓を作る」という答えが返ってきました。みんな「命」ある魚を扱っているという思いがあり、捕まえたらすぐに水の入ったバケツに移して、魚を弱らせないように工夫をし、死んでしまった魚はちゃんと弔う。「命」を大切にする気持ちを持って取り組んでいました。
みんなが頑張って捕まえた魚は保管用の水槽、裏庭の池に移動します。学校の池にすんでいた魚はコイ、メダカ、モロコの3種類です。大きさで分けて、種類ごとに数えていきます。作業が進めば進むほど魚がたくさん移動してきて、あっという間に50匹以上に。みんなが普段何げなく見ていた池にはたくさんの魚がすんでいることが分かりました。
途中、長靴の中に水が入ったり、池の水がかかったり、ポンプのホースから水が噴き出したりと、ちょっとしたハプニングもありましたが、その全てを楽しめたようで、最初から最後までいたるところで子供たちの笑顔が見られました。
グループに分かれて作業するため、先生がそばにいないときもありましたが、子供だけで班をまとめる姿が見られ、各自が役割を考えながら行動しているようでした。池の掃除では、汚れているところを自分で探してきれいに。魚を運ぶときは、魚が弱らないようにできるだけ早く移動させるように。保管するときはどの大きさをどこに入れるか、何が何匹いるかが分かるように。それぞれの役割で責任感を持って取り組んでいました。
作業を始めてから約2時間。最初はどれくらいの深さがあるかも分からなかった池が、きれいになり、底が見えてきました。そして作業を終えて、みんなが集まると自然と拍手が沸き起こり、代表児童が「みんな楽しかったですか?水を入れるときも力を合わせて頑張ろう!」と言うと、その日一番大きな声で「はい!」と全員が返事。たくさん汗をかいて頑張った達成感のある表情が印象的でした。
後日、池に水を張り、生き物を戻した後は、各自で生態系について調べて発表し、学校のシンボルになるよう、池のこれからをみんなで考えていきます。