世界遺産が多く、歴史や文化が薫る国、イタリア。子どもを留学させたいと考えている人もいるのではないでしょうか。では、イタリアの教育の状況は日本とはどのように違うのでしょうか。そこで今回は、イタリアの教育について紹介します。
イタリアの義務教育とは
イタリアの義務教育は、小学校(5年間)、中学校(3年間)が法律によって定められています。ただし、近年は母親も仕事をするケースが多いため、義務教育ではなくとも幼稚園に在籍する3~6歳までの子どもが大半を占めており、イタリアの教育・大学・教育省は2023年から幼稚園も義務化することをアナウンスしています。
イタリアの小学校の特徴とは
イタリアの小学校は、正式には「Scuola Primaria(スクオーラ・プリマーリア)」という単語ですが、一般的には「スクオーラ・エレメンターレ」と呼ばれています。
その年の12月31日までに6歳を迎える子が9月に入学し、5年間在籍します。1クラスは最高で26名。通常は20名前後で構成されています。
履修科目は国語であるイタリア語のほか算数、英語、歴史、地理、理科、技術、美術、そして音楽と体育があります。1~2年生のうちは、主にイタリア語と算数を基軸に授業が進められ、社会科系の科目や理科の授業が本格的に開始されるのは3年生から。
2年生までは、国語であるイタリア語を学びながらテーマとして歴史や地理、あるいは科学の内容を読解するという方法がとられています。
さらに宗教の授業もありますが、これは任意です。家庭の事情や親の方針で宗教の授業を子どもに受けさせないケースも少なくありません。
近年は移民も多くイタリアにもイスラム教徒の子どもたちが存在します。宗教、すなわちキリスト教の授業を受けない子どもたちは、「アルテルナティーヴァ(代案)」という名前がついた道徳の授業を受けることが多いようです。
ただし、イタリアの小学校には、ある程度の子どもが集まらないと教師の確保が難しいという事情があります。
クラス内で1.2人しか宗教の授業を受けず教師も確保できない場合は、その時間は別のクラスに編入させられたりすることも多々あります。
イタリアの中学校の特徴とは
11歳から14歳の子供が学ぶ中学校は「Scuola secondaria di primo grado(スクオーラ・セコンダーリア・ディ・プリモ・グラード)」が正式名称ですが、一般的には「スクオーラ・メディア」と呼ばれています。
授業科目は、小学校で学んだ科目に加え、英語以外の外国語の履修が義務となっています。フランス語、スペイン語、ドイツ語などが選択できますが、イタリア語と同じくラテン語を母語とするスペイン語とフランス語が人気です。特に、イタリア語とは方言ほどの相違しかないスペイン語は子供たちも学びやすいようです。
また、中学校を卒業するためには国家試験である「テルツァ・メディア」に合格することが義務付けられています。
「テルツァ・メディア」では、イタリア語、数学、外国語(英語+フランス語 / スペイン語 / ドイツ語)の筆記試験、そして口頭試験が行われ、不合格となると、最終学年をもう一度やり直す必要があります。
ただし、現在は95%以上が合格となるという報告もされているため、留年するケースは多くありません。
とはいえ、子どもたちにはかなりのプレッシャーがかかる試験であることはまちがいないようです。
リンク先では、日本とは違うイタリアの義務教育のポイントやイタリアの高校・大学などをご紹介します。
全文は教育情報サイト「ソクラテスのたまご」でご覧ください。