LINEやTwitterといったSNSの台頭から、コミュニケーションの幅は広がっている一方、それらを使ったネットいじめが子どもたちの間で増えています。
そこで今回はいじめ相談員である小野田真里子さんの監修のもと、ネットいじめの内容や特徴、家庭でできるネットいじめ予防策と対処方法まで解説していきます。
ネットいじめとは?
ネットいじめについての対応を解説する前に、まずはネットいじめの現状について一緒に見ていきましょう。
LINEやTwitterといったSNS、メールといったオンライン上で行われる、嫌がらせの言動や態度、誹謗中傷を指すネットいじめを指します。
対面いじめと異なり「匿名」でいじめを行うケースも多いネットいじめは、加害者の特定が難しく長期化しやすいのが特徴です。時として不特定多数の人たちに個人情報が拡散されることもあります。
文部科学省の調査(*)によると、小・中・高等学校及び特別支援学校におけるネットいじめの実態は以下のような結果が公表されています。
【いじめの態様のうちパソコンや携帯電話等を使ったいじめ】
平成27年度 | 平成28年度 | 平成29年度 | 平成30年度 |
9,187件 | 10,783件 | 12,632件 | 16,334件 |
以上の表の数値で示しているとおり、ネットいじめの発生件数が右肩上がりとなっています。このような動きを受け、小学校・中学校ともに外部講師を招いた授業でSNSの正しい使い方などを学ぶなどといった啓蒙活動が盛んに行われています。前述の文部科学省の調査結果報告において、実態は以下の通りです。
【インターネットを通じて行われるいじめの防止及び効果的な対処のための啓発活動の実施】
平成27年度 | 平成28年度 | 平成29年度 | 平成30年度 | |
小学校 | 66.0% | 73.1% | 77.2% | 82.0% |
中学校 | 76.0% | 81.7% | 84.0% | 87.4% |
特に小学校において、啓蒙活動の実施率が上がっていることがわかります。
では、小・中学生に多いネットいじめの現状は、どのようなものなのでしょうか。小野田さんに寄せられた相談内容を交えながら、より詳しくネットいじめについて説明します。
(*)文部科学省|児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について(平成27年度、平成28年度、平成30年度)
ネットいじめ特有の特徴
ネットいじめはオンラインの特性上、対面いじめとは異なる特徴があります。そんなネットいじめの特徴について、小野田さんが指摘したのは以下の5点です。
匿名性が高く、加害者を特定しにくい
一つ目のネットいじめ特有の特徴として、対面いじめと比較すると匿名性が高く、加害者を特定しにくい点が挙げられます。
SNSやフリーのメールアドレスは、匿名で複数のアカウントを同時に持つことが可能であり、いじめが起きても誰によるものかがをユーザー側はすぐに特定できません。
加えて、24時間いつでもアカウントは削除可能。誹謗中傷メールやツイートが少しでも問題になれば、証拠隠滅としてアカウントを即時に消すユーザーも少なくありません。
そのため加害者を探し出すには、運営側に依頼して過去の履歴(足跡)をサーバー上で追跡するという手間を加えなければ、容易に判明できないのです。
手軽に行われやすい
匿名で行われることの多いネットいじめは、アカウントを手軽に削除(シャットアウト)できます。そのため「バレたらアカウントを削除すればいいや」と、安易な気持ちでいじめが行われやすい傾向があります。
LINEの場合は、そのやり取りのしやすさから、加害者側も気軽な気持ちでいじめを行いやすく「いじめてるつもりはなかったが、いつの間にかいじめになっていた」というケースも多いようです。
発見しにくく、長期化しやすい
ネットいじめは、LINEやメールなど第三者からは見えない場所で展開されるため、対面いじめよりも発見しにくいといわれています。
そのため「いじめが長期化しやすく、より深刻化するケースが多い」と小野田先生は指摘します。
いじめが繰り返され逃げ道がない
さらにネットいじめには、いじめが繰り返されやすく逃げ道がないという特徴があります。
インターネットが普及する前の対面いじめであれば、教師や親が気付きやすく、加害者と物理的に距離を取ることで、いじめが緩和される部分もありました。
一方でネットいじめは、ネットがつながっている環境であれば“24時間365日、いつでもどこでも”繰り広げられることが可能なため、逃げ道・逃げ場がありません。
それゆえ、学校以外の時間でも四六時中いじめに悩まされる可能性の高いネットいじめに対し、被害者側は精神的なダメージを抱えやすい傾向があります。
加害者と被害者の立場が逆転する
ネットいじめには、SNSやメールがあれば手軽に行いやすく、面と向かわないことからキツい言葉を発しやすいため、加害者と被害者の立場が逆転するという特徴もあります。
電気通信普及財団による研究(*)では「ネットいじめの加害と被害は相関関係にあり、(中略)ネットいじめの被害に遭った子の約3分の2が別の子のいじめに加わっている」(p.118)との報告が出ています。
このようにネットいじめでは、被害者が加害者に向かってやり返すことも少なくありません。
(*)公益財団法人電気通信普及財団|ネットいじめの実態とその抑止策に関する実証的研究
リンク先では、ネットいじめの方法や予防方法・対処方法をご紹介します。
全文は教育情報サイト「ソクラテスのたまご」でご覧ください。