2020年4月から地方財政措置が講じられたスクールロイヤー制度。言葉の響きから考えると弁護士が問題のある教員の悪い証拠集めをしてギャフンといわせたり、いじめ事件の加害者に説教をして反省を促したり、そんなドラマのようなイメージを抱く人がいるかもしれません。しかし、実際はどうなのでしょう。
2019年4月から全国より一足早くスクールロイヤー制度を取り入れている東京都江東区。同区のスクールロイヤーを務める弁護士の鬼澤秀昌さんに現実のスクールロイヤーについて話を聞くと、基本的には、弁護士が先頭に立って問題解決のために動くようなことはなく、あくまで学校に助言をする立場のよう。
まだ制度として不明瞭な点があるものの、学校のトラブル対応に大きな変化が期待できそうです。
そもそもスクールロイヤーとは?
そもそもスクールロイヤーとは、どんなことを行う人なのでしょうか。
日本弁護士連合会による「『スクールロイヤー』の整備を求める意見書」内(意見の趣旨)では次のように記しています。
各都道府県・市町村の教育委員会,国立・私立学校の設置者において,学校で 発生する様々な問題について,子どもの最善の利益を念頭に置きつつ,教育や福祉等の視点を取り入れながら,法的観点から継続的に学校に助言を行う弁護士(以 下「スクールロイヤー」という。)を活用する制度を構築・整備するよう求める。
つまり、スクールロイヤーとは、学校で問題が起きたときに “子どもの最善の利益を念頭に置きつつ”法的な根拠をもって、福祉的な視点も取り入れつつ学校にアドバイスをする弁護士ということ。
また、スクールロイヤーが学校への助言、指導をする案件は下記が想定されています。
(1)子どもの問題行動、親子の問題、その他子どもに関わる問題
触法、非行、暴力、性被害等の問題行動
いじめ
児童虐待
不登校
少年鑑別所、児童自立支援施設、少年院等への入所者
出席停止及び懲戒処分
障害のある児童生徒への対応
重大な少年事件やいじめ、自殺事件等が発生した場合
貧困問題(2)保護者対応
①保護者の行き過ぎたクレームと教員のストレス
②子どもの最善の利益の視点からの指導・助言
③教員の負担軽減と健康管理(3)体罰、セクハラ、指導上の問題等への対応
(4)学校事故への対応
①事故の予防と法的責任の確認と対応
②事故の調査(5)学校におけるコンプライアンスの実現と紛争の予防
引用元:「実践事例からみるスクールロイヤーの実務」(日本法令)42~43ページ
いじめ、学校・教員と保護者のもめごと、不登校、体罰など、学校にまつわるトラブルは挙げ始めればキリがありません。また、近年ニュースにもなる教員間のパワハラやセクハラ、教員の過重労働など、幅広い項目でスクールロイヤーの活用が期待されています。
リンク先では、スクールロイヤーがいる場所や役割をご紹介します。
全文は教育情報サイト「ソクラテスのたまご」でご覧ください。