“いじめ”ってなに? いじめの定義や種類を解説します

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わが子がいじめの被害者になる、わが子がいじめの加害者になる。子育て中の親なら、そのどちらの可能性も考えたことがあるのではないでしょうか。

今回からスタートする本連載では「一般財団法人 いじめから子供を守ろう!ネットワーク」東京代表の栗岡まゆみさんに、さまざまな角度からいじめについて教えてもらいます。

 

いじめの定義とは

いじめって何?

この問いかけに、子どもたちは手を挙げて答えてくれます。

「はーい、人の心を傷つけることです」
「うざい。きもい。死ね。とか言います」
「給食のときに、ゴミを入れたりすること」
「仲間に入れないことです」

無邪気な表情でそう話す、そのシビアな現実に驚かされます。この「いじめって何?」の問いかけに明確に答えることから、いじめ問題の解決はスタートします。

平成25年に制定された「いじめ防止対策推進法」では、“いじめ”を次のように定義づけしています。

いじめとは

児童生徒に対して、当該児童生徒が在籍する学校に在籍している等当該児童生徒と一定の人間関係のある他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む)であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているものをいう。なお、起こった場所は学校の内外を問わない」(いじめ防止対策推進法第二条)

つまり、“被害者が心や体に苦しさや痛みを感じたらいじめ”と定められたのです。

子どもたちが“いじり”や“ふざけ”と捉えているような行為であっても、対象の子どもが苦痛を感じている、「嫌だ」「つらい」「やめてほしい」と感じていたら、その行為は“いじめ”となることをこの法律は定めています。

また、行為をされた子どもが仕返しされることを恐れて「自分はいじめられていない」と言った場合でも「いじめではない」と判断するのではなく、本当に苦痛を感じていないのか子どもの様子を観察・確認し、子どもの心と命を守る必要があります。そのための定義なのです。

いじめ防止対策推進法が制定されるきっかけとなったのが、平成23年に起きた大津のいじめ事件です。

被害者である中学男子生徒に「いじめではないか?」と確認したけれど、本人が「大丈夫」と答えたために対応されることなくいじめはエスカレート、命を失っています。

また、次は私にとって忘れられない事例の一つです。

平成24年、品川区の中学1年生の男子児童が「鉛筆折られた」と相談しました。担任はクラス全体に注意を促しましたが、「大したことはない」と判断。いじめはそのまま、エスカレートしていきます。それから数ヵ月後「お父さん、行ってらっしゃい」の言葉を最後に、自宅で命を絶ちました。

クラスのほぼ全員による、「うざい」「キモイ」「死ね」の暴言、男子生徒による殴る蹴るの暴行など壮絶ないじめが行われていました。

男子児童の夢は、デザイナーでした。

この男子児童が自殺した当日、私は隣の区でいじめ防止授業をしていました。その後、新聞社からの取材を受けた際「品川で自殺があったのをご存知ですか」と聞かれました。「なぜだ」と気が動転したまま何が起きたか知りたく、教育委員会に駆け込みました。そこには、下を向いて何も語らない重苦しい何十人もの職員。

「今は対応できません」と顔なじみの職員の悲痛な声。教育現場で、命を失った重みを痛感しました。「守りたかった」と胸がつぶされそうで、足が震えました。今も「教育現場の子どもたちを守りたい」という願いとして、多くの区民に記憶されています。

「鉛筆折られた」という最初の訴えの対応を誤らなければ、命を失うことはなかった忘れられない事件。「このくらい、大したことはない」と大人が思い、小さないじめを見逃し対応を誤る。それがいじめのエスカレートへとつながり、命を失うことにもなるということを教えられました。

いじめはどの子どもにも、どの学校にも起こり得るものなのです。

国立教育政策研究所の調査で明らかになったのは、小学生の9割近くが仲間はずれ・無視・陰口の被害を受け、加害経験も同様の傾向であるということ。“誰もが被害者・加害者になり得る”ということです。

また、しばしば“昔のいじめと現代のいじめは違う”といわれます。

アニメ『ドラえもん』の「のび太」と「ジャイアン」が、いじめられっ子といじめっ子の例えとして挙げられたのは昔のこと。現代のいじめは、悪質で巧妙です。1対1ではなく、1対集団です。外からは見えにくいネットいじめの存在、そして9割の児童生徒がいじめた経験といじめられた経験があるという調査結果は、いじめっ子といじめられっ子がある日突然入れ替わり、どこでも起こるという状況を表しています。

 

リンク先では、いじめの種類や判断基準をご紹介します。

全文は教育情報サイト「ソクラテスのたまご」でご覧ください。

 

 

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