全国で広がるひとり親世帯。国勢調査(*)によると平成27年におけるひとり親世帯は83万人で、平成2年と比較すると1.2倍も増えています。
ひとり親世帯の不安で大きいのは、やはり経済面。実際にひとり親世帯の平均年収は、母子世帯で243万円、父子世帯で420万円(**)であり、特に母子世帯では収入面で不安を抱えている人が少なくありません。
今回はひとり親・母子世帯が健やかに暮らせるよう、国や都道府県、市区町村などが充実させている手当や給付金、助成・割引制度、各種減免・免除などを紹介します。
ただしこれらの制度は地域差が大きいため、ひとり親・母子世帯で支援を希望する人は、お近くの市区町村窓口にご相談ください。
(*)東京都福祉保健局|直近の調査に基づくひとり親家庭の現状(令和元年5月27日)
(**)厚生労働省|平成28年度 全国ひとり親世帯等調査の結果
国から支給されるひとり親・母子手当
まず最初に紹介するのは、国から支給されるひとり親や母子世帯向けの手当です。
児童手当
児童手当は、子育てを支援する共に、子どもが健やかに育つことを目的として、国から子育て世代の世帯に給付される手当です。
支給対象者
児童手当はひとり親世帯だけではなく、中学校を卒業するまでの子どもを育てる全ての人を対象としています。
支給金額
子ども一人当たりの児童手当の支給額は、1ヶ月あたり次の通りです。ただし、支給金額には所得制限があります。
子どもの年齢 | 支給額 |
3歳未満 | 一律15,000円 |
3歳から小学校卒業まで | 10,000円 第三子以降は15,000円 |
中学生 | 一律10,000円 |
手続き方法
児童手当は国の制度ですが、窓口は各自治体となっています。
子どもが生まれたときや、他の自治体から引っ越したとき、児童手当を受け取るには住んでいる自治体の役所に「認定請求書」を提出する必要があります。
また児童手当を受け取るには、毎年「現況届」を提出しなければなりません。現況届は6月1日の状況を確認するためのもので、役所から書類が郵送されてきます。必要事項を記入して返送しましょう。現況届を提出しないと、6月以降、手当を受け取れなくなりますので、ご注意ください。
児童扶養手当
児童扶養手当は、父母の離婚や死別、婚姻によらない出産などのために親がひとりである子どものために国から支給される手当です。
児童扶養手当はひとり親であっても子どもが健全に育つ環境を経済的にサポートし、子どもの福祉増進を目的として作られました。
支給対象者
児童扶養手当は母子・父子父子問わず、原則すべてのひとり親世帯に支給されます。子どもが18歳になってから初めて3月31日を迎えるまでの間が対象です。
支給金額
子どもの人数や所得に応じて支給金額が異なります。1ヶ月の支給額は次の通りです。ただし母親や父親など、扶養者の前年の所得などによって、一部支給となることがあります。
子どもの人数 | 全部支給 | 一部支給 |
1人の場合 | 43,160円 | 10,180円~43,150円 |
2人目への加算 | 10,190円 | 5,100円~10,180円 |
3人目以降の加算 | 6,110円 | 3,060円~6,100円 |
参照:厚生労働省|ひとり親のご家庭へ、大切なお知らせ
手続き方法
児童手当と同様に、児童扶養手当も国の制度で、窓口は各自治体となっています。自治体により必要な書類が多少異なりますので、詳細は各自治体に確認してみましょう。
例えば東京都北区の場合、申請に必要な書類は以下の通りです。
- 申請者の印鑑
- 申請者名義の預金通帳
- 申請者と子どもの戸籍謄本
- 住宅が賃貸の場合、賃貸契約書や公営住宅使用許可証
- マイナンバー利用の必要書類
参照:東京都北区|児童扶養手当(申請手続)
児童扶養手当を受け取るには、児童手当と同じように、現況届を提出しなければなりません。現況届は毎年8月に各自治体から郵送されてきますので、必要事項を記入して提出しましょう。
特別児童扶養手当
特別児童扶養手当とは、精神または身体に障害を持つ20歳までの子どもを育てる、ひとり親を含めた全ての父母に支給される手当です。
支給金額
特別児童扶養手当の支給金額は障害の程度によって異なります。1級であれば月額52,500円、2級であれば月額34,970円がそれぞれ支給されます。
特別児童扶養手当は要件が満たされれば児童扶養手当との併用も可能です。
手続き方法
お住まいの市区町村窓口で申請を行いましょう。
障害児福祉手当
障害児福祉手当とは、精神または身体に重度の障害を持ち、常に介護を必要とする状態である20歳までの子ども本人に支給される手当です。
支給金額
支給金額は月額14,880円です。
手続き方法
お住まいの市区町村窓口で申請を行いましょう。
市町村から支給されるひとり親・母子手当
市町村によっては、ひとり親や母子世帯に向けて独自の手当を支給しているところがあります。
今回は東京都の例を中心に取り上げますが、お住まいの地域でも各種手当が充実しているかもしれません。お近くの市町村窓口に問い合わせてみるのも良いでしょう。
住宅手当
自治体によってはひとり親世帯向けに、独自に住宅手当を支給する制度を実施している場合があります。
例えば、東京都国立市では18歳までの子どもを持つひとり親世帯に対して、1万円を限度として家賃の3分の1が助成(*)されます。
住宅手当の他にも、ひとり親世帯向けに公営住宅の入居優遇措置や、アパートに入居するときの保証金を助成する制度など、自治体によって独自に住宅費用を支援する制度を設けている場合があります。一度お住まいの近くにある役所に行って確認してみるとよいでしょう。
(*)東京都国立市|ひとり親家庭への支援
児童育成手当(東京都)
離婚や死別などによって、ひとり親世帯となった人を支援するために、東京都は児童育成手当を独自に設けています。
支給対象者
都内に住所があり、父母が離婚・死亡している、重度の障害がある、父母に育児放棄されたりDV保護命令を受けている子どもを養育している人に対して支給されます。
支給金額
子ども一人に対して、月額13,500円が支給されます。
手続きと方法
区市町村の子ども担当課など、担当窓口で手続きを行います。詳細は各区市町村に確認してください。
参考:目黒区|児童育成手当
続きでは、ひとり親・母子世帯向け給付金、ひとり親・母子世帯が受けられる助成・割引制度、ひとり親・母子世帯が受けられる減免・免除をご紹介します。
全文は教育情報サイト「ソクラテスのたまご」でご覧ください。