今回は、山形県の県魚であるサクラマスを紹介します。ヤマメと同じ親から生まれ、育つ環境の違いで全く違う魚へと成長していきます。
サクラマスってどんな生き物?
生まれた川に戻ってくる
日本では北海道近海から東北地方、日本海に多く、九州で捕獲されることもあります。サハリン、カムチャッカ半島の南部、オホーツク海、朝鮮半島の沿岸に分布し、サケ属の中では最も分布が狭いのが特徴です。
生活の場は成長段階に応じて、川→海→川と変わり、桜が咲く季節(4~5月)に生まれた川へ戻ってくることが名前の由来になっています。秋の産卵に備えて、春から6~7カ月間は何も食べないで過ごします。
ヤマメはサクラマスと違ってずっと川で生活するよ。
冬に生まれ、1年半ほど川で生活する
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春に川を下り海へ向かう(降海)
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沖合には出ず、1年ほど海で生活する
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産卵に備え春に川へ戻る(遡上)
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半年後の秋に産卵する
体の色が変化
海へ下る時期になると体の模様が薄くなり、銀色に変化する銀毛化と呼ばれる現象が起こります。海水でも生きていけるように体を変化させるのです。繁殖期には、雄が体の色を変化させて雌にアピールする色へと変わり、体全体は黒褐色へ、側面には朱紫色の横帯模様が表れます。
食べる餌は、川にいるときと海にいるときで変わるの?
降海前は主に水生昆虫を食べ、海では浮遊性のアミ類など甲殻類を好んで食べておる。成長するにつれて、イカナゴやカタクチイワシなどの小魚や、イカも食べるようじゃ。
最後の力を使って産卵
川の上流域で、砂と小石が入り混じった川底に産卵します。卵の数は1,500~5,000粒。雌が尾びれと尻びれを使って、卵を産むためのくぼみ(産卵床)を作る間、雄は近づいてくる他の雄を追い払います。雌が産卵する瞬間に雄が寄り添い放精し、受精卵が形成。他の生き物に卵を食べられないよう、産卵後は雌が卵に砂を被せて隠します。
親魚は残された力でしばらく付近を泳いでいますが、やがて力尽き、その一生を終えるのです。
加茂水族館の仲間たち!
加茂水族館のサクラマスは20~30cmで、現在6匹のサクラマスをアメマスとホッケとともに飼育中です。
強い個体は水槽内を大きく動き回り、気の弱い個体は下の方で他の種と群れていることもあります。餌の時間になると、強い個体は他の魚を押しのけて食べる一方で、気の弱い個体は強い個体や他の種と鉢合わないようタイミングを狙って食べに行きます。