今回はマダラをご紹介します。日本では冬が旬のおいしい魚として親しまれていますが、調理後ではなく、海で泳いでいる姿を知っていますか?
マダラってどんな生き物?
冷たい海にすみ、季節で移動する魚
マダラは、北日本からアラスカ、カナダにかけての寒冷域の水深10~550mの大陸棚および大陸棚斜面、北太平洋沿岸に広く分布している魚です。通常は水深200~500mの範囲で生活し、産卵期である冬には水深の深い場所から浅い場所へ移動して、沿岸や内湾の海底が硬い泥質または砂地で産卵をします。夏には餌を探し求めて水深の深い所へ移動しますが、地域性が強く、大規模な回遊は行いません。
まだら模様が特徴
背びれが3基、尻びれが2基あります。下顎には触鬚という1本のひげ(感覚器)があり、タラ科独特の形をしています。他の種類に比べ、頭部が大きく、ひげが長いことが特徴です。背中から側面は暗褐色のまだら模様で、おなかは真っ白。また、タラ科の中では最大級に大きくなります。
下顎にあるひげはどんなときに使うの?
ひげで餌を探しておる。食べられそうな物なら何でも口に入れてしまうぞ。食べるときは、吸い込むようにして丸ごと飲み込んでしまうんじゃよ。
1年に1回の産卵
雌雄のペアもしくは雌1匹に対して数匹の雄で産卵を行い、雌は年に1度の産卵期に1回だけ卵を水中に放ちます。細かい砂や泥の海底の上で、雌がくるくる回って卵を生むと、雄が来て卵に精子を放ち、受精を行います。親は産卵後その場を離れ、子育てはしません。卵は沈み砂に粘着して、やがてふ化します。ふ化した後は動物プランクトンを食べて成長し、3年ほどで成熟します。
加茂水族館の仲間たち!
加茂水族館では、漁師さんに捕獲してもらった野生のマダラ4匹(雌雄・年齢不明)を飼育しています。
普段は水槽の中層辺りをゆったりと泳いだり、水底でジッとしたりすることが多いそうです。餌の時間になると水面まで上がってきて、飼育員の手から餌(アジ・ホッケなど丸ごと)を食べることもあるのだとか。水底に落ちた餌を、感覚器を使って探す様子(索餌)も見られます。大食漢ですが、同居している生き物を襲うことはほとんどありません。