運動が苦手、あるいは好きではないという子どもにとって憂鬱に感じることの多い学校の「新体力テスト」。今回、紹介するのは新体力テストの種目の一つ「上体起こし」です。ちょっとしたコツを覚えるだけで記録を伸ばせるので、「どうせできないし…」と最初から諦めているお子さんにも教えてみてくださいね。
新体力テスト「上体起こし」とは?
「そもそも、新体力テストって何?」という人は、前回までの記事の冒頭に新体力テストについて解説を記載しているので、ぜひ読んでみてくださいね。
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「上体起こし」と聞いてイメージするのは、“腹筋”ではないでしょうか。でも、測定する能力や正確な方法についてはよく分からないという人が多いと思います。まずは、上体起こしという種目を説明しましょう。
上体起こしは、体幹筋屈曲群の筋力と筋持久力を測定することが目的。簡単にいうと、腹筋とそこに関連する筋肉がどれだけ長く頑張ることができるかを見るものです。寝ている姿勢(伏臥姿勢)から上体を起こし、また寝ている姿勢に戻るという動作を素早く続けます。
正確な取り組み方は?
文部科学省の「新体力テスト実施要綱(6歳〜11歳対象)」では、上体起こしについて次のように解説されています。
※12歳~19歳対象の「新体力テスト実施要項」についても、内容は同じです。
- マット上で伏臥姿勢をとり、両手を軽く握り、両腕を胸の前で組む。両膝の角度を90°に保つ。
- 補助者は、被測定者の両膝をおさえ、固定する。
- 「始め」の合図で、伏臥姿勢から、両肘と両大腿部がつくまで上体を起こす。
- すばやく開始時の伏臥姿勢に戻す。
- 30秒間、前述の上体起こしを出来るだけ多く繰り返す。
「実施上の注意」は、次の通り。
- 両腕を組み、両脇をしめる。伏臥姿勢の際は、背中(肩甲骨)がマットにつくまで上体を倒す。
- 補助者は被測定者の下肢が動かないように両腕で両膝をしっかりと固定する。しっかり固定するために、補助者は被測定者より体格が大きいものが望ましい。
- 被測定者と補助者の頭がぶつからないように注意する。
- 被測定者のメガネは、はずすようにする。
上体起こしの平均記録は?
上体起こしの年齢別平均値は、下の表の通りです。
年齢 | 男子平均(回数) | 女子平均(回数) |
6歳(小1) | 11.64 | 11.39 |
7歳(小2) | 14.54 | 14.13 |
8歳(小3) | 16.72 | 15.85 |
9歳(小4) | 18.63 | 17.64 |
10歳(小5) | 20.79 | 19.19 |
11歳(小6) | 22.66 | 20.84 |
12歳(中1) | 24.44 | 21.90 |
13歳(中2) | 27.84 | 24.43 |
14歳(中3) | 29.93 | 25.20 |
上体起こしが苦手で、平均値までほど遠いという子どももいるでしょう。なぜ苦手なのか(苦手に感じてしまうのか)、その原因を取り除くことがまずは大切です。
上体起こしが苦手な子の原因
上体起こしだけではないのですが、以前(昭和の頃など)と比べ子どもの体力は低下しています。近年は国を挙げて子どもの体力向上に取り組んでおり、一部はわずかですが上昇しています。しかし、全体的に下げ止まっているというのが実情…。
子どもが暮らす社会の状況はとても便利になっています。これは子どもだけでなく、家庭で行う炊事洗濯なども以前と比べると格段に便利(ラク)になっているということでもあります。しかしながら、体のことを考えるとこの便利さがマイナスに作用する面もあるのです。
子どもは体のさまざまな部分が日々、成長しています。便利で快適な暮らしは子どもの体の健全な発達・発育にはマイナスであることもあります。特に上体起こしで測定する腹筋は人間の筋肉の中でも中心となるものです。体をたくさん使わないことなどが腹筋を始め、主要な筋肉に影響を与えています。
研究者の中には、子どもの体力低下には3つの“間”が減ったことが関係していると指摘する人もいます。“間”とは、仲間・空間・時間。社会状況の変化、子どものライフスタイルの変化などが子どもの体に大きく影響を与えているのです。子どもの体力(腹筋も含め)を向上させていくには、この3つの間(仲間・空間・時間)を確保することも大切なのかもしれません。
リンク先では、学校では教えてくれない上体起こしのコツや1回も出来ない子におすすめのトレーニングをご紹介します。
全文は教育情報サイト「ソクラテスのたまご」でご覧ください。