学ぶ気持ちはあるのに結果が出なかったり、友達関係がうまくいってなさそうだったり。わが子に不器用さを感じることはありませんか?
それは、認知機能が弱いからかもしれません。
今回から紹介するコグトレは、認知機能を強化していくトレーニングです。第1回目となる今回は、認知機能のチェック法やコグトレでできることを紹介します。
わが子に感じる“ズレ”は認知機能の弱さが原因!?
今や何冊もの本が発売されている「コグトレ」ですが、誕生したきっかけは、児童精神医・医学博士の宮口幸治さんが、簡単な図形の模写や短い文章の復唱すらできない非行少年たちと出会ったことでした。「みる力」「きく力」「みえないものを想像する力」が弱く、これまで勉強や日常生活の中で苦労し、挫折してきた彼らの認知機能を何とかしたいと約5年をかけて開発されたそうです。
そもそも認知機能とは、「記憶」「言語理解」「注意」「知覚」「推論・判断」などの要素が含まれた知的機能のことです。人間は、五感(みる、きく、触れる、味わう、匂う)を通し得た情報を、頭の中で整理し、計画を立てて実行し、結果につなげていきますが、この過程を行うために必要な能力こそが認知機能になのです。
しかし、例えば、認知機能が弱くて「整理する」段階で間違えてしまうと、その後の過程をいくらがんばっても結果はゆがんでしまいますよね。 「いくら練習しても字をキレイに書けない」「やる気はあるのに周りと同じようにできない」という子は、認知機能の弱さが原因なのかもしれないのです。
そして、認知機能の影響は、学習だけにとどまりません。日常生活のなかで他人と接するときでも、認知機能が弱く、得た情報を間違えて処理してしまうと「自分のことをばかにしている」と怒りをためてしまったり、みんなと同じように作業ができずに自信をなくしたりと生活しづらくなっていきます。友達に対して攻撃的だったり、間が悪かったり、卑屈になってしまう子も、性格の問題ではないのかもしれないのです。
1クラスの約5人が認知機能が弱い可能性あり
話を学習へ戻しましょう。学校の授業では、情報を一時的に記憶保持する「ワーキングメモリ」という力も必要になります。
例えば、授業内容を聞き取りながら覚え、覚えながら次の話を聞き取るには「聴覚(言語性)ワーキングメモリ」が必要ですし、黒板をノートに書き写すためには、黒板の内容を覚える「視覚性の記憶」、黒板とノートで見る大きさや角度が違っても同じだと認識できる「形の恒常性」、どこまで書き、次はどこから書くかなどの「視空間ワーキングメモリ」などが必要です。「ワーキングメモリ」が弱いとうっかりミスが増え、集中力が持続しません。
しかし、ワーキングメモリや認知機能が弱いからといって必ずしも日常生活が送れないわけではないですし、もちろん見た目では分かりません。
知的能力を心理発達テストで評価したときIQ70までが知的障害、IQ70~84がグレーゾーンとされていますが、知的障害とグレーゾーンの子どもを合わせると子ども全体の1割5分(約15%)程度になるともいわれています。35人クラスであれば、成績が下位の5人が当てはまります。
すでに、ここまでの話で「もしかしたら、うちの子も?」と感じた読者もいるかもしれません。続きでは、家庭でできる認知機能のチェック法を紹介します。
全文は教育情報サイト「ソクラテスのたまご」でご覧ください。