臨床心理士という「こころの専門家」と出会うために

共通

富山県こどもこころの相談室

更新

2年間続いた、私のコラムとLINE相談への回答は今回で最終回です。

 

この企画を始めるにあたり、エコファミリー新聞の担当者と「どのように読者に発信していくか」ということについて話し合ったことを、今でもよく覚えています。

 

振り返ってみると、初期のころは私が普段考えていることを書くことができました。「ある関取」について書いたコラムは読者の方からたくさんの反応をいただきました。そのご意見を参考に私の考えはさらに発展していますので、また違う機会で続きを書こうと思っています。

 

令和3年の7月からは、読者のみなさんの悩みごとをエコファミリー新聞を通してお聞きし、その悩みごとについて私なりの回答をしてきました(全18回)。

 

毎回、富山県に限らず、東北からもたくさんの質問をいただき、「今の保護者はこのようなことで悩んでいるのか」と普段のカウンセリングの仕事では、あまり出会わないような質問も非常に多くいただきました。

 

その中で、私が普段あまり聞くことのない質問を一部挙げてみます。

 

・どのような学資保険に入ればよいか

・ラーメンをどのくらい食べることができるのが平均的か

・娘が父親のことを過剰に嫌う

・親にがんが見つかった、子どもを残して死ぬことはできない

・親が更年期障害の歳になって、子どもにイライラした気持ちをぶつけてしまう

等です。

 

今回で私のコラムは終わります。

 

そこで、みなさんがこれから子育ての中で悩んだときは「こころの専門家」に相談をするという方法を知っていただきたいのです。

 

臨床心理士とは、臨床心理学の知識や自分の臨床経験を用いて、その症状や状態が起きている要因について仮説を立て、カウンセリングという技法を用いて、相談者の悩みや苦しみを軽減したり、解決したりすることを支援する仕事です。

 

「カウンセラー」という仕事は誰でも就くことができます。何の勉強もしていない人が今から「私はカウンセラー」と言えば、カウンセラーになれてしまいます。

 

 そのため、世間にはさまざまな「カウンセラー」と呼ばれる人たちが多くいます。「心理カウンセラー」「子育てカウンセラー」「恋愛カウンセラー」「離婚カウンセラー」「福祉カウンセラー」「スピリチュアルカウンセラー」「占いカウンセラー」等、挙げればきりがありません。

 

私が知っている中でも「カウンセリング講座を1週間受けた」「オンライン研修を半日受けた」「テキストが送られてきて、それに解答をして送り返すと、カウンセラー認定の賞状がもらえた」等、高額な金額を支払えば、ほとんど役に立つことのない「〇〇カウンセラー」の資格が取れてしまいます(資格を認定している団体にとって大きな利益になります)。

 

そのような資格を持って「〇〇カウンセラー」の仕事をしている人への相談は注意が必要です。

 

なぜならば、臨床心理学の知識も無ければ、専門的な訓練を受けていないからです。臨床心理士は大学を卒業した後、心理の大学院に進学する必要があります(決められた指定大学院制度)。

 

そこで2年間かけて専門的な知識を学び、実習を行い、訓練を受けて修士論文を書き上げます。大学院修了後も、仕事をしながら、臨床心理士の資格の勉強を半年間して、臨床心理士の試験を受験します。

 

そこで合格することができると翌年の4月に「臨床心理士」の資格が取得できます。

 

つまり、今から臨床心理士という「こころの専門家」になろうと思ったら、どんなに早くても7年後です(高卒の場合)。

 

そして、臨床心理士は資格を取得して終わりではありません。

 

5年ごとの更新制です。5年間経つと更新のための審査を受けます。

 

ここまで読まれただけでも、上記の「〇〇カウンセラー」と「臨床心理士」の専門性の違いは歴然だと思われる方が多いと思います。

 

「臨床心理士」は病院、学校(スクールカウンセラー)、教育委員会、児童相談所、福祉機関、女性センター、心の健康センター、保健所、警察等のさまざまな場所で出会える可能性があります。

 

その中には、私のように「開業」という形で、自分で心理オフィスを経営してる臨床心理士もいます(富山県では数名です)。

 

ぜひ、相談相手として検討する際の参考にしていただければと思います。

 

また、みなさんとどこかでお会いできることを願って、パソコンを閉じたいと思います。

 

2年間、お読みいただきありがとうございました。

 

富山県こどもこころの相談室

代表(臨床心理士・公認心理師)深澤 大地

一覧に戻る

オススメ情報