「専門家が回答」⑯5年生の男の子が甘えん坊で困ります。いつまで甘えてよいのでしょう。

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富山県こどもこころの相談室

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5年生の男の子が甘えん坊で困ります。いつまで甘えてよいのでしょう。

 

 

この「いつまで甘えさせるか」「どこまで甘えさせるか」という「甘え問題」はよくある悩みごとの一つではないでしょうか?

 

質問者の「甘えん坊」がどのようなものなのか、文章からは分からないので、一般的な視点からお話してみたいと思います。

 

まず、整理しておきたいことがあります「甘やかす」と「甘えさせる」は全く違うということです。

 

みなさんはこの違いをどのように考えますか?

 

先に読み進める前に、ご自身の考えを紙に書いてみてください(悩みを誰かに聞く前に、自分の考えていることや、どのようなことならできそうかということを紙に書いてまとめてみることは効果的です。なぜならば、自分で悩みごとを解決しようとする力が育つからです。)

 

書いていただけたでしょうか。

 

私の書くことは絶対的な答えではありませんので、自分の考えと比較しながら読んでいただけるとよいと思います。

 

よくある場面として

 

子どもが「ゲームを買ってほしい」と親にねだる場面

 

について考えてみましょう。

 

この場面、

「甘やかすこと」とは、ゲームを買ってほしいという要求に応えてしまいます。ゲームが欲しいと言ったときにそれを買ってあげることが「甘えさせてあげる」ことだと勘違いをしています。

それは「甘えさせている」のではなく、「甘やかしている」います。このようなかかわりと続けると、子どもは物やお金のような物質的な物に価値を感じ、物やお金などの物質的な物でしか満足しなくなっていきます。それによって、大人になってもこころが満たされることが少なくなり、こころが貧困になっていきます。

 

「甘えさせること」とは、子どもの気持ちを受けとめて、それを理解してあげようとすることです。この場面で考えると、「どのような気持ちからゲームが欲しくなったのか」「ゲームを買ってもらえないとどんな気持ちがするのか」等を丁寧なコミュニケーションを重ねていきます。大人が、叱ったり、イライラしたり、ため息をついたり、ゲームを買ってあげたりすることなく、「ゲームが欲しくなったのね」「友達が持っていたら欲しくなちゃうよね」「ゲームを買ってもらえないとイライラしてしまうね」等、子どもの気持ちに共感をしてあげようとすることが大切です。

子どもが不快な気持ちを持ったときに、しっかりとその気持ちを受けとめて、時には抱きしてあげることも効果的です。これによって、子どもは「ゲームを買って欲しい気持ち」と「ゲームを買ってもらえない気持ち」の間で葛藤をし、徐々に自分の気持ちに折り合いをつけられるようになっていきます。そして、どんなことを親に言ったとしても、親が甘えさせてくれたら「気持ちが落ち着く」「気持ちがほっとする」「安心する」ということを体得していきます。

 

この視点から考えると、「甘えさせること」は子どもが満足するまでしてあげてもよいのです。それによって「子どものこころ」は成長していくからです。そして、親に甘えることができると、「子どものこころ」には安心感が芽生え、自然に親から離れていくことができます。これが「自立」するプロセスです

ぜひ、「甘やかす」と「甘えさせる」の違いを考えながら、子どもとのかかわりを考えてみてはどうでしょうか。

 

その他の回答結果はこちらからhttps://ecofami.com/special/?tag=96

 

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プロフィール

 

富山県こどもこころの相談室

代表(臨床心理士) 深澤 大地

 

長野県生まれ。関東の公的機関で教育相談員やスクールカウンセラーとして勤務。平成21年に富山県総合教育センター客員研究主事として招聘。平成29年に子ども専門の心理相談室「富山県こどもこころの相談室」を開設。現在は、子どもに限定せずに未就学児~成人のカウンセリングを行っている。また、講演会、新聞の連載エッセイの執筆、雑誌への記事の掲載、メディアへの出演など、臨床心理士として県内外で活躍中。

 

所属学会等

「日本心理臨床学会」 会員

「日本遊戯療法学会」 会員

「日本箱庭療法学会」 会員

「日本精神分析学会」 会員

「日本臨床心理士会」 会員

「富山県臨床心理士会」 前理事

HP:https://cocoro-soudan.wixsite.com/toyama-kodomo
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Twitter:https://twitter.com/tccr556?lang=ja

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