「専門家が回答」⑬思い通りにいかない時や自分の欠点を指摘されると発狂します。どうすれば自分の感情をコントロールすることを身につけられるものでしょうか?

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富山県こどもこころの相談室 

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思い通りにいかない時や自分の欠点を指摘されると発狂してしまいます。優しくなだめてあげれば気持ちが落ち着く事はわかっていますが、それではいけないのではと厳しく接してしまいます。どう導いてあげれば自分の感情をコントロールすることを身につけられるものでしょうか?

思い通りにいかないとイライラしたり、暴れたり、発狂したりする子どもの相談はとてもよくお受けする質問です。そういうことがあると、親も混乱してイライラしたり、悲しくなったりします。

 

今回のご質問について、「しつけ」「叱る」「怒る」の視点からお話したいと思います。

 

みなさんは「しつけ」「叱る」「怒る」という3つはどのように違うと思いますか。

 

先に読み進める前に、ご自身の意見を考えてみてください。

 

*教育学、社会学等の学問的立場によって定義は異なりますが、臨床心理学では次のように考えることがあります。

「叱る」・・・子どもが適切な行動を取れるようにアドバイス、注意をすること(子どものため)

「怒る」・・・大人が子育ての中で起きた、怒りの感情を吐き出す方法(大人のため)

「しつけ」・・・子どもが現実と感情に折り合いをつけて自己コントロールができるようにかかわること

 

みなさんが考えたことと、一致していましたか?

 

さて、今回のご質問の「感情のコントコントロール」という部分は、上記のしつけの視点か

考えることができます。

 

思い通りに行かなくて発狂するとき、よくあることは、発狂することを止めさせようと、強く叱るということです(恐らく、叱っているつもりが、怒っていることの場合も多くあります)。

優しくなだめてあげるということの具体がこの質問からはわからないので、想像でしかありませんが、親によっては、食べ物やゲームを与えることで発狂の状況を止めようとする方もいます。

 

この場合、しつけ(自分の気持ちをコントロールすることができるようになる)の視点から子どもとかかわるとすると、

 

「自分の思った通りにならなくて、嫌な気持ちだったんだね」

「ゲームに負けてイライラしてしまったんだね」

「もっと遊びたかったんだね」

等の子どもの気持ちを受けとめて共感を示すことが大切です。

 

このときに、

「何でそんなに大声を出すの!止めなさい!」

「いつもいつも同じことをしないでよ!」

等と言いたくなるかもしれませんが、それは子どもの行動に対する否定です。

 

これでは、いつまで経っても自分の気持ちをコントロールすることができるようになりません。

自分の「ネガティブな気持ち」を親に受けとめてもらったり、共感されたりすることで、自分の気持ちに折り合いをつけていくと、少しくらい気にいらないことがあっても、これまでのように暴れたり、イライラしたり、発狂したりすることは減っていきます。それは親に気持ちを理解してもらえたことで、自分のこころの器が広がり、少しくらい「ネガティブな気持ち」になっても器が大きくなったために、困った行動をしなくてもよくなるからです。

このように、しつけによって、子どもの「ネガティブな気持ち」を入れるためのこころの器を大きくすると、自分の中の「ネガティブな」気持ちをコントロールすることができるようになっていきます。

 

ぜひ、このことを意識してかかわってみてはいかがでしょうか。

 

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プロフィール

 

富山県こどもこころの相談室

代表(臨床心理士) 深澤 大地

 

長野県生まれ。関東の公的機関で教育相談員やスクールカウンセラーとして勤務。平成21年に富山県総合教育センター客員研究主事として招聘。平成29年に子ども専門の心理相談室「富山県こどもこころの相談室」を開設。現在は、子どもに限定せずに未就学児~成人のカウンセリングを行っている。また、講演会、新聞の連載エッセイの執筆、雑誌への記事の掲載、メディアへの出演など、臨床心理士として県内外で活躍中。

 

所属学会等

「日本心理臨床学会」 会員

「日本遊戯療法学会」 会員

「日本箱庭療法学会」 会員

「日本精神分析学会」 会員

「日本臨床心理士会」 会員

「富山県臨床心理士会」 前理事

HP:https://cocoro-soudan.wixsite.com/toyama-kodomo
Facebook:https://ja-jp.facebook.com/TCCR556/
Twitter:https://twitter.com/tccr556?lang=ja

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