9/30(土)エコファミワークショップ in イオンモール新利府
子ども会の役員や、PTAの役員の人間関係で逃げ出したくなるほどの嫌な気持ちになる。誰にも相談ができず、一人で悩んでいる。
カウンセリングの仕事をしていると、子どものことだけではなくて、親同士の関係について深刻に悩んでいる方が少なくありません。そのような方たちに共通することとして、自分の気持ちや考えを相手に伝えることが苦手だということを感じます。
心理学の理論の中に「アサーション」というものがあります。
今回のご質問には、この「アサーション」についてのお話をしたいと思います。
「アサーション」とは「自分も相手も大切にする自己表現」という意味です。
アサーションでは自己表現を3つに分類します。
〇非主張的な表現⇒相手のことばかり考えて、自分のことは大切にしない表現
⇒特徴として、自分の気持ちや考えを言わない、言えない、曖昧に言う。
〇攻撃的な表現⇒自分のことばかり考えて、相手のことは大切にしない表現
⇒特徴として、自分の気持ちや考えばかりを一方的に相手に言う。
〇アサーティブな表現⇒自分のことも相手のことも大切にする表現
⇒特徴として、自分の気持ちや考えも率直に伝えるし、相手の気持ちにも共感する。
アサーティブな自己表現はよりより人間関係の基盤となっていくため、日常的にアサーティブな自己表現を心掛けることが大切です。
その時、
「私たちは相手を傷つけない限り、自分の気持ちや考えを表現しても良い」
ということを知っておくとよいでしょう。
さて、具体的にアサーティブな表現とはどういうものでしょうか。
よくある場面を紹介します。
年度初めに「私、仕事が忙しいから、この役員（係）をやってもらえますか」と言われた。
このとき、あなたなら何と答えるでしょうか？
少し考えてみてください。
それでは、先ほどの3つの表現に当てはめてみます。
〇非主張的な表現
「（本当は断りたいけれど）いや・・・私は・・・ちょっと・・・」と言うかもしれません。
⇒これではストレスがたまりますし、不本意にも役員（係）になってしまうかもしれません。意外に気が付きませんが、ハッキリとしない態度に相手もストレスを感じます。
〇攻撃的な表現
「何言ってるの！私だって仕事が忙しいんだから、そんなの無理に決まってるでしょう！」と言うかもしれません。
⇒これでは、相手は恐怖を感じてその後の人間関係が悪化していきます。
〇アサーティブな表現
「〇〇さんも仕事が忙しいんですね。私も、仕事や育児があって、この役員（係）を引き受けるのは難しいです（安易に引き受けたらご迷惑をかけるので）。この役員（係）はお断りします。育児をしながらできる事務作業ならやれることもあるかもしれません。そういう仕事にさせてもらえますか。」という言い方もあります。
⇒アサーティブな表現は自分のことも大切にしていますし、相手の気持ち、考え、状況にも配慮しています。このようなコミュニケーションを日常的に構築していくことで、お互いの信頼関係が生まれ、役員（係）の仕事に楽しみも生まれてくる可能性もあるのかもしれません。
アサーションは、自分の気持ちや考えを表現できるプログラムが体系化されています。興味のある方は、アサーションの書籍を読んでみるのもよいかもしれません。
そして、「誰にも相談できずに一人で悩んでいる」ということ、とても心配をしています。
直接、子どものことと関係がなくても、学校のスクールカウンセラーに相談をすることができます。そのような専門家を頼ってみることも考えてみてください。
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プロフィール
富山県こどもこころの相談室
代表（臨床心理士） 深澤 大地
長野県生まれ。関東の公的機関で教育相談員やスクールカウンセラーとして勤務。平成21年に富山県総合教育センター客員研究主事として招聘。平成29年に子ども専門の心理相談室「富山県こどもこころの相談室」を開設。現在は、子どもに限定せずに未就学児～成人のカウンセリングを行っている。また、講演会、新聞の連載エッセイの執筆、雑誌への記事の掲載、メディアへの出演など、臨床心理士として県内外で活躍中。
所属学会等
「日本心理臨床学会」 会員
「日本遊戯療法学会」 会員
「日本箱庭療法学会」 会員
「日本精神分析学会」 会員
「日本臨床心理士会」 会員
「富山県臨床心理士会」 前理事
